ベンチマークに使用したのは、デスクトップ用のCPU。
Haswell陣営の代表選手は、Core i7-4770K .50GHz。
Ivy Bridge陣営の代表選手は Core i7-3770K 3.50GHzである。
両者とも動作クロック数は同じもので比較してみた。
ところで、i7-4770Kはソケットが1150、i7-3770Kは1155である。
この時点ではまだ市販のマザーが入荷していなかったため、
Haswellはintelより貸与されたテスト用マザーを使用。チップセットはこちらもニューフェイスのZ87ということになる。
3770KのほうはASRockのZ77Pro3を使用した。
どちらもGPUはオンボードのみである。
対等の比較にするため、ビデオ出力は両者ともHDMIとした。
(intelマザーにはHDMIポートしかついていなかった)
まずはプロセッサ本体の勝負である。
プロセッサの性能比較には、SiSoftwareのSandra liteを使用。
Sandraはハードウェア/システムの総合診断ツールとして定評があるが、マザーボードの違いが出ないように、プロセッサのみの性能をテストすることにしよう。
Sandraのプロセッサのベンチマークは6種類ある。
・プロセッサの性能
・マルチメディア処理
・暗号処理
・実行財務分析
・マルチコアの効率
・省電力管理の効率
これらのすべてを記載しても情報量が多すぎてわかりにくいので、Haswellの進化した点にスポットを絞って紹介したい。
とはいえ、どうしても外せないのがプロセッサの性能。CPUの要である演算装置(ALU)と浮動小数点演算装置(FPU)のテストである。
しかし、右のグラフを見ていただければお分かりの通り、ほとんど差は存在しない。
基本的なプロセッサはほとんど同じものであると考えていいだろう。
さて、残り5つのベンチマークのうち、際立って進化した3つの点について見ていくことにしよう。
■暗号処理
数字の上では、1GB/秒での変化でしかないが、1秒で1GB分処理能力が増えたということは、何気にすごいことだ。
もし何百GBもあるようなデータを暗号化するときには、そのわずかな性能差が大きなアドバンテージになるからだ。
特に、暗号化/復号化のパフォーマンスに注目。
HaswellではAES暗号処理のための拡張機能、「AES-NI」の性能向上が図られているという。その結果が如実に出た形になった。
ドライブやメールを暗号化している人は要チェックだ。
また、ウェブブラウザでSSLを使用する時にもこの性能は効果を発揮するはずだ。
■マルチメディア処理
このベンチマークはSIMD、つまり同じ命令を複数のデータに対して並列で処理する性能のテストだ。
それは、ビデオ、オーディオ、グラフィック、アニメーションなどのマルチメディア処理でよく使われるものである。
グラフを見て欲しい。総合的には1.4倍、整数演算では1.8倍近くのパフォーマンスを見せている。
これはHaswellの売りのひとつである「AVX2拡張命令セット」の効果であろう。従来のAVXに対し性能は2倍と謳われていたのを実証した形になる。
■省電力管理の効率
Haswellは省電力効率も進化したと謳われている。
それは、アイドル時の省電力効果が大きいと言われているが、このベンチでは、稼動時の電力効率も約2倍にアップしているのが見て取れる。
まさにエコ時代の今にふさわしいCPUといえるだろう。
省エネのためだけに乗り換えるのもアリ、という気分にさせてくれる。
さて、ここからはもっと具体的な利用シーンに即した比較をしてみることにしよう。
まずはビデオエンコードの速度である。
使用したのはCyber LinkのMediaEspresso。
MPEG、フルHD、10分の動画を1280x720のmp4にエンコード。
31秒対39秒、ここでは8秒もの差が付いている。大したように感じないかもしれないが、長時間の動画のエンコードを考えると少しでも速いほうがいいに決まっている。
ここは素直に性能の向上を評価したい。
さて、いよいと内蔵GPU対決である。
Haswellでは内蔵GPUの強化が図られており、今回の最も大きく進化した点と言える。
ちなみにHaswellのGPUには「Iris(アイリス)」というブランドがあるが、それはGT1~GT3、GT3eのGPUのうち上位二種に与えられた名前であり、デスクトップ版のCPUは「GT2」のHD4600である。
ちなみにIvy BridgeはHD4000が搭載されている。
オンボードのGPUは非力なのが当たり前であり、 本来、3Dゲームのベンチを取ること自体ナンセンスなことであるが、ゲームにおいてどこまで実用に迫れるか試してみたい。
なお、どちらもビデオメモリーは1760 MBを充てられている。
■3DMARK1.1.0
まずは3Dグラフィックスの定番ベンチマークソフト、3DMARKの登場である。
バージョンは1.1.0となっているが、これが最新版である。
このバージョンではICE STORM、CLOUD GATE、FIRE STRIKEの3種のベンチが存在する。
グラフを見て欲しい。その3種すべてにおいて、Ivy Bridgeより確実に進化しているのがわかる。
特筆すべきはFIRE STRIKEである。
前二種のテストでは、GPUの差による変化があまり出ない。
FIRE STRIKEはGPUに非常に負荷がかかる光の表現や物理演算も行なっている。
はっきり言って、オンボードグラフィックなどで太刀打ちできるものではないのだ。
実際の画面を見ると、Ivy Bridgeでは、コマ落ちどころか完全に紙芝居になっている。
しかし、Haswellでは、「意外に見れる」。紙芝居がコマ落ちに昇格しているのだ。
もちろん、前二種のテストでは、画質に何の遜色も見られなかった。
オンボードにしてはなかなかやるな、という印象だ。
■FINAL FANTASY XIV: A Realm Reborn ベンチマーク ワールド編
お次は画質にこだわるスクエニの言わずと知れたFINAL FANTASY。8月発売に期待の高まる「新生エオルゼア」公式ベンチマークである。
これも実際オンボードには厳しすぎ、無茶振りと言わざるを得ない。
しかし実際の結果を見ていただきたい。
ここでいきなりNVIDIA GT630の飛び入り参加!なぜかフルHDでの勝負だけで退場してしまったが、
HaswellはGT630に肉薄する、いい勝負を見せてくれた。
もちろんIvy Bridgeに比べれば圧勝である。
平均FPSも掲載しておくが、この値がスコアに正比例しているのであろう、ほぼ同じ結果である。
ウィンドウモードではやはり42fpsとかなり実用レベルに達していることに注目したい。
なお、ベンチマークにおける判定はそれぞれ以下の通りである。
IvyBridge | Haswell | |
1280x720標準画質 | やや快適 | とても快適 |
1980x1080標準画質 | 設定変更を推奨 | やや快適 |
1920x1080高画質 | 動作困難 | 設定変更が必要 |
つまり、フルHDでも、標準画質であればFF XIVが十分楽しめるのだ!!
なお、特筆すべき点として、1280x720では、Ivy Bridgeと2倍以上の大差が付いている。
つまり、ウィンドウ派ゲーマーでコストパフォーマンスを求める人にはかなりお勧め、フルスクリーン派もそれなりに楽しめるのがHaswellということができるだろう。
■PHANTASY STAR ONLINE 2 CHARACTER CREATER Ver2.0
最後の勝負はセガのPHANTASY STAR ONLINE 2。
キャラクタークリエイターに動作検証のメニューがあるので、そこでベンチを行なっている。
こちらでは、GT630にかなり差を付けられた形になった。
逆に、Ivy Bridgeには2倍の大差をつけての圧勝である。
特にウィンドウモードでの差が甚だしい。
やはりHaswellはウィンドウ派にお勧めということができるだろう。
ウインドウモードでのHaswellベンチマークの1場面。
瞬間最大fspは101をマークしている。